2025年1月5日 デイヴィッド・バーンズ David Barns

ヨット雑誌の連載記事を書くための調べ物をしていたら
懐かしい名前に遭遇した

David Barns


ぼくがプロセーラーを目指して初めてニュージーランドに渡ったのは
1983年2月のこと

ランギトト島が目の前に見えるタカプナビーチに行くと
1981年にワールドを制したデイヴィッドとハーミッシュや
クリス・ディクソンとやジョーィ・アレンや 
マーリィ・ジョーンズやピーター・エバンスたちが乗る470艇群が
平日は夕方から 週末は朝から練習に明け暮れていた

その後デイヴィッドとハーミッシュは
その年(1983年)と1984年の世界選手権も制したのだった

David Barnes (helm) Hamish Willcox (crew) on their way to winning the 1984 470 World Championship. They won three world 470 titles 1981-1984 and placed third in the other in that era © PJ Montgomery / Sail-world

デイヴィッドは 複数回のアメリカズカップにも関わった

1987年のアメリカズカップへのNZの初挑戦では
控えのスキッパーに耐えたが

その年の北半球の夏には
12m級世界選手権でNZ代表艇のスキッパーになり
日本の小林正和氏が率いるベンガル・チェレンジとの大接戦を制して
優勝を勝ち取った

その翌年には
今もオークランド海洋博物館の入り口に展示されている
Kボートのスキッパーとして
アメリカズカップに挑戦した

©️Guy Gurney


デイヴィッドはその後
多発性硬化症という難病に冒されたが

偶然にも同じ病に罹ったリチャード・ドッドソンとともに
セーリングを続けた

David Barnes and Rick Dodson, former America’s Cup sailors who suffer from MS and are part of the New Zealand Sailing team in Kinsale for the IFDS World Championships – photo © Michael Mac Sweeney / Provision / Sail-world NZ

ぼくがデイヴィッドと最後に話したのは
確か2003年前後のことだったが

いつも羨ましいくらい穏やかで
大尊敬するセーラーであり人間だった

デイヴィッド・バーンズは
2020年10月に亡くなった。